安池家 家法(大正5年6月作成)
安池家の家法が書庫の中に保管されており、それを読み返してみた。 家を繋いでいくための知恵と工夫が記載されていると感じると同時に 現代においても先祖の考え方を大切に引き継いで行かなければ ならないと強く感じた。
《 安池家 家法 》 (大正五年六月稿:九代安池米雄)
第一条
安池家の家長及び其の家族は安池家祖先の家風と別に定むる処の家訓を守り且此家法に従い其家の存立を計り永久に之を伝ふべき責任あるものとす 敬神奉佛の念厚く道義を重んずるは安池家祖先の家風なり
第二条
安池家の家系譜に列祀せる祖先の祭祀は別に定むる所により厳正に之を施行し其墳墓は常に尊崇すべし
第三条
安池家の財産は祖先苦辛の余瀝なれば消費使用に注意を要す
第四条
毎年一月一日現在の財産目録を其年の三月末日迄に調製し其価格の約三分の一に当たるものを世襲財産とし良好なる物件を選定し之に世襲の印を付して表示すべし 世襲財産は負債の抵当に充て又は其元本を消費するを得ず 但やむを得ざる場合に於いては親族会議において慎重に協議し其過半数の同意を経て決行すべし
第五条
貴重品目録に祀載せる祖先の遺品其他の物品書類は厳重に保存し祖先の祭礼に際し家族及親族の展覧に供すべし
第六条
其他の物品は物品目録に登記し毎年夏時土用の頃点検整理すべし
第七条
収支予算は毎年十二月迄に調整し一年の計を立つべし 収支決算は前年自一月至十二月間のものを三月迄に整理確定し後日の参照に供すべし
第八条
他人の負債に保証を為し手形に裏書擔保を為し又は投機の業を行うことは安池家の家禁なり
第九条
安池家の家長は家産を消費して政党政社の運動を為すことを得ず
但官吏となり又は選ばれて名誉職に就くは此限りにあらず
第十条
安池家正当相続人あらざる場合は縁者の中品性学業体格優れ此家法を遵守すべき能力あるものを選じて養子となし家督を相続せしむべし 縁者中に適当のものあらざる場合は前項と同一の条件を以て他より養子を迎ふることを得
第十一条
隠居、相続、婚姻、問題ある嗣者の廃除、主たる営業の変更、住所の移転、其他一家の重事は親族会議を開き其意見を訊くべし
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